2010年4月7日水曜日

非定型肺炎:成人
特徴
基礎疾患のない、60歳未満の、痰、胸部所見が少ない患者
咳がひどい

→非定形肺炎の可能性高い。

___________________________

成人でも非定型肺炎の重要な原因菌
としてマイコプラズマ,クラミジアが挙げら
れる。そして成人でも小児でも一番問題
となるのが診断,いかに簡便で迅速な方
法で検出するかということである。
迅速診断キットとして,マイコプラズマに
ついては「イムノカード」が,クラミジアに
ついては「ヒタザイム‐ELISA法」が導入
されているが,疑陽性の可能性を考慮す
る必要がある。
そこで我々は,クラミジアに対して新規
の診断法であるAntiLab-EIA法を検討中
であり,感度97.1%,特異度100%と今後
に期待している。
臨床的な診断法として,CT所見はマイ
コプラズマ肺炎の典型例を拾い上げるの
には有用だが,小児には被曝の問題があ
り,実施は困難である。また,クラミジアに
関してはエビデンスがない。
2000年公表の「成人市中肺炎診療の基
本的考え方」では抗菌薬の選択に際して,
臨床症状・症候6項目,検査成績3項目の
9項目によって,非定型肺炎と細菌性肺炎
の鑑別を試みており,これはわが国のGL
の特徴の1つである。
その後,3つの前向き研究で
集積された1,880例の肺炎症例
では,マイコプラズマと細菌性の
鑑別においては,この6項目は
非常に有効であると結論づけら
れた(表3)。
マイコプラズマとクラミジアの
大きな違いは,マイコプラズマで
は劇症化する場合があるもの
の,クラミジアでは劇症化するのは肺炎球
菌との混合感染の場合だけで,単独感染
では存在しない。
百日咳・
急性細気管支炎:小児
岡田賢司氏
(国立病院機構福岡病院小児科)
百日咳で一番問題となるのは診断であ
る。臨床症状として14日以上の咳に加え,
発作性の咳込み,吸気性笛声,咳込み後
の嘔吐の1つ以上を伴うこと,また発症か
ら4週間以内では培養とPCRによる診断,
4週間以降では血清診断を実施すること
が世界的にコンセンサスが得られている
(表4)。
血清診断では,定まった診断基準はな
い。ジフテリア・破傷風・百日咳3種混合
(DTP)ワクチン未接種児なら,凝集素価
の上昇を確認するだけでよいのだが,
DTPワクチン接種児,あるいは不明の
場合では,単血清では凝集素価320倍
以上(10歳未満)の上昇で判定している。
百日咳毒素に対する抗体も診断に用い
られている。DTPワクチン未接種児では
10EU/mL以上が陽性,DTPワクチン接種
児または不明児では,おおよそ単血清で
100 EU/mL以上あると診断ができる。
今日,年長児,成人の百日咳が増えて
きた原因の1つに,かつてDTPワクチンを
接種した小児が,百日咳の流行がなくな
り感染の機会が減ったことから,抗体価
が下がってきたことが考えられる。
欧米では,そのような小児を対象に3種
混合ワクチンの導入を始めている。フラン
スは1998年から,11~13歳児にDTPワク
チンと不活化ポリオワクチンを混合したよ
うなもの,あるいは成人用として調製され
たTdaP(百日咳ワクチンとジフテリアの抗
原量を減らした3種混合ワクチン)に不活
化ポリオワクチンを混ぜたも
のの接種が始まっている。
米国でも2 0 0 6 年から,
TdaP接種が年長児(11~18
歳)を対象に始まっている。
日本でも11~12歳児にDTP
あるいはTdaPワクチンを実
施する必要性が出てきたと
考える。
急性細気管支炎の原因
はRSウイルスが半分以上を
占めている。季節的には冬
から春にかけて乳児に多
い。RSウイルス感染が反復
性喘鳴の要因となることが明らかになっ
ている。
百日咳・
急性細気管支炎:成人
石田直氏
(倉敷中央病院呼吸器内科)
近年,百日咳菌は成人の急性~遷延性
咳嗽の主要な原因菌として注目されてい
る。遷延する感染後咳嗽を診た時は,本
症を疑う必要がある。
米国では以前から注目を集めており,
American College of Chest Physicians
(ACCP)の咳のガイドラインでは,急性咳
嗽のcommonな原因として百日咳が挙げ
られている。若年の成人,幼児の両親か
ら小児に感染するので,このサイクルを断
ち切らなければならない。欧米では成人
のワクチン再接種が真剣に討議されてい
るところである。
WHOの百日咳診断基準では,3週間以
上の咳嗽発作に加えて,百日咳菌の分離,
抗体価の有意な上昇,および百日咳患者
との家庭内接触のうち1つ以上を認めるも
のとされている。
抗体検査の問題点は,抗体検査が十分
行われていないことや,シングル血清での
基準がないことである。
ACCPのGLによると,治療の第1選択薬
は14員環,15員環のマクロライド系薬であ
る。カタル期の使用において有効とされて
いる。痙咳期に投与しても,症状の軽快
は見られないが,周囲への拡散防止には
有効である。
当施設で,3週間以上持続する咳嗽を
主訴とし,レントゲン写真上で異
常を認めなかった成人130例で検討
したところ,その原因(疑いを含
む)として感冒後/感染後咳嗽,咳
喘息が多かった(表5)。
また,百日咳は遷延性咳嗽,慢性
咳嗽の6.9%(9例)に関与しており,
特に遷延性咳嗽(3~8週持続)に限
ると,8.2%に関与していた。なお,
百日咳と確定した症例の中には,70歳代,
80歳代の症例も見られた。
RSウイルスやヒトメタニューモウイルス等の
小児で細気管支炎を惹起する病原体の成人
での関与については不明な状況である。
全年齢 0~1歳 2~5歳 6歳~
n=290
(中村明:日児誌 107:1067,2003 一部改変)
細菌性
ウイルス性
マイコプラズマ性
原因不明
図2 小児市中肺炎の年齢別原因微生物
60歳未満
基礎疾患なし or 軽微
頑固な咳
胸部聴診所見乏しい
痰がない or 原因菌不明
末梢白血球数1万未満
0.13332
0.18857
0.19338
0.26164
0.19294
0.14175
5.10
7.54
7.82
10.19
8.27
6.26
説明変数 偏回帰係数 t 値 p 値
<0.0001
<0.0001
<0.0001
<0.0001
<0.0001
<0.0001
(Ishida T,Miyashita N & Nakahama C. Respirology 2007)

2010年4月3日土曜日

リーバクト
分岐鎖アミノ酸
カロリー不足なので、たんぱくを分解してカロリーを得るときに、アミノ酸ができてしまう。
→分岐鎖アミノ酸により、効率よく、アミノ酸の発生を抑制できる?はず




No.2 「肝硬変合併症の治療でこんな点に注意しています」
肝臓NAVI > 肝疾患情報(肝臓内科医向け) > 専門医に聞く > 肝硬変合併症の治療でこんな点に注意しています

肝硬変の非代償期では腹水、肝性脳症、食道静脈瘤などの合併症が認められますが、これらの合併症の管理
が、肝硬変の更なる進行を抑え、肝不全への移行を予防するための鍵となります。日常診療のなかで、肝硬変
合併症をうまくコントロールしていくには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。鳥取大学医学部機能
病態内科学分野教授の村脇義和先生に、ご自身の診療にもとづき、肝硬変の合併症管理のコツと肝癌への
対応についてお話いただいきました。

合併症のコントロールで肝硬変の進行抑制
肝硬変の病期を機能的に分類すると、肝臓の予備能力により症状があまり出ない「代償期」と、肝硬変が進み
黄疸、腹水、肝性脳症などの症状が出てくる「非代償期」に分けられます。つまり、非代償期は肝硬変のより
深刻な段階といえるわけですが、このような肝硬変において注意を払わなくてはならないのが、腹水、肝性脳症、
食道静脈瘤などの合併症です。
合併症は、肝硬変の進行を早めるきっかけになるだけでなく、直接的な死因にもなりうるため、日常診療に
おいては、これらの合併症をいかに適切にコントロールしていくかが重要になります。また、合併症はいつ
現れるかわからないので、まだ代償期にある患者さんに対しても、常に注意を払っておく必要があります。
ここでは、個々の合併症に対し、私たちが実際に行っている対策について紹介していきます。

腹水 -治療の主体は、減塩食と利尿薬、アルブミン補強-
腹水の早期発見のために、受診時の体重測定、定期的な超音波検査を行っています。検査で腹水が認められた
場合には、まず利尿剤で対応していますが、ループ利尿薬とスピロノラクトンの併用を行うことが多いです。通常
は入院加療で、減塩食とともに利尿剤投与を行うと、1~2週間程度で軽快します。しかし、利尿薬治療だけで
完治しない場合は、25%アルブミン輸液を点滴するが、最近はそれでも治癒しない難治性腹水の患者さんが
全体の10~20%程度と増えてきています。このような患者さんに対しては、腹水の穿刺排液とアルブミン点滴を
併用したparacentesisを行っています。具体的には腹水を2リットル排液した場合は、25%アルブミン輸液を50cc
点滴する治療を、3~4日間隔で行います。難治性腹水の場合、特発性細菌性腹膜炎を併発していることがある
ので、腹水の細菌培養を必ず行います。この場合、血液で用いるカルチャーボトルを使用するのがよいでしょう。
腹水患者さんでの食事の基本は減塩食ですが、低アルブミン血症を改善するために、へパンED(R)
リーバクト顆粒(R)など、アルブミンを増強できる補強剤(分岐鎖アミノ酸製剤)を併用することがあります。

肝性脳症 -治療の基本は「低蛋白食+分岐鎖アミノ酸製剤」-
次に肝性脳症を発見するための第一歩は、まず問診でわずかな神経精神症状も見逃さないことです。できれば、
患者さん本人のみでなく、付き添いの家族にも様子を聞くのがよいでしょう。診察では羽ばたき振戦など神経症状
の有無、検査では血中アンモニア値を調べます。
肝性脳症の管理はその程度により異なりますが、犬山分類のII度以上は、可能なかぎり入院のうえ、絶食と
ブドウ糖輸液を行います。また、特に便秘、消化管出血、肉類の食べ過ぎなどが認められる場合は、高圧浣腸で
大腸洗浄を行います。その後、分岐鎖アミノ酸を中心とした肝不全用特殊アミノ酸輸液を3~4時間かけてゆっくり
と点滴します。絶食期間は、輸液管理とし、経口での摂食が可能になったら肝不全用栄養剤を併用します。
食事で大切なのは、蛋白質摂取量を、体重1kg当たり1g/日程度に制限することです。つまり、体重60kgの人で
あれば、1日60g程度の蛋白摂取に抑えたいです。それと同時に、規則正しい便通を図るために、ラクツロース、
ラクチトールといった非吸収性合成二糖類も使用します。それでも治らない肝性脳症に対しては、保険適応外
ではありますが、硫酸ネオマイシン、カナマイシン(R) 、硫酸ポリミキシンBなどの非吸収性抗生剤を投与して、
アンモニア産生の原因となる腸内細菌を減数するという処置をとります。ただし、この治療は、できれば1週間
程度の短期間で終了したいです。

分岐鎖アミノ酸で窒素バランスを保った栄養改善
以上のような治療で改善が認められれば、退院の時期も近くなります。この時期に行うのは、栄養療法(食事
療法)の指導です。その際の基本は、「低蛋白食+経口肝不全用栄養剤(ヘパンED(R) 、アミノレバンEN(R))。
通常は、常用量の半分程度の経口肝不全用栄養剤(分岐鎖アミノ酸製剤)を、食事と食事の間に服用してもらい
ます。これらの製剤は、肝機能の低下した肝硬変の患者さんで不足しがちな、分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、
イソロイシン)を多く含んでいるため、食後のアンモニア上昇を抑え、肝性脳症の増悪を抑制するのに役立ちます。
退院後も、食事は総エネルギー量1500~1600kcal、蛋白摂取量50~60g程度に抑えたいので、栄養剤による
補強は必要です。ただし、栄養剤の間食を嫌がる患者さんには、分岐鎖アミノ酸の単剤であるリーバクト顆粒(R)
使用します。低蛋白食+リーバクト顆粒(R)の組み合わせは、合併症の有無に関わらず、肝硬変患者さん全般に
広く用いられる栄養療法です。
肝硬変で肝性脳症が生じるのは、肝機能の低下により、食事由来のアンモニアが処理できずに食後アンモニア
が上昇するからです。このため肝硬変患者さんでは、アンモニア源を減らすために低蛋白食が必要なのですが、
そのような場合でも、窒素バランスを維持するために、ある程度の蛋白質は必要となります。
肝硬変の患者さんで分岐鎖アミノ酸が不足しがちになるのは、肝機能の低下により糖質からのエネルギー供給
が低下しているため、代わりのエネルギー源として分岐鎖アミノ酸が使われてしまうためです。そして、その不足
を補ってくれるのが、分岐鎖アミノ酸を多く含む経口肝不全用栄養剤であり、分岐鎖アミノ酸単剤の
リーバクト顆粒(R)ということになります。このため、合併症の有無にかかわらず、非代償期に移行しようとする
肝硬変の患者さんや肝機能低下のみられる患者さんすべての栄養管理には、低蛋白食にこれらの製剤を併用
して、アンモニア値をコントロールしながら栄養改善を図ることが望ましく、さらに肝性脳症による循環動態変化の
改善や再発防止にも役立つことになります。

食道静脈瘤 -定期的内視鏡検査でRed Color Signに注意-
食道静脈瘤やうっ血性胃症の発見には、半年~1年に1回の、定期的な内視鏡検査が有効です。この際は、食道
静脈瘤の大きさもさることながら、静脈瘤の表面にRed Color (RC) Signがあるかどうかに注意を払う必要があり
ます。RCは細い血管が拡張している表れで、これをもつ人は出血しやすいと言われているためです。RCが強い
ときは、静脈瘤に硬化剤を注入する食道静脈瘤硬化療法や、それより簡便な食道静脈結紮(EVL)による予防的
治療を行う場合もあります。また日本ではあまり行われていませんが、海外ではβ遮断薬のプロプラノロール投与
もよく行われます。一方、出血が認められる食道静脈瘤に対しては、緊急EVLのなどの、積極的治療策がとられ
ることになります。食道静脈瘤治療のための薬物療法というものはとくにありませんが、胃・食道逆流がみられる
場合に、酸分泌抑制剤が投与されることはあります。
肝硬変において合併症が怖いのは、合併症を起こすたびに肝実質機能が少しずつ悪化していくためです。
それゆえに、腹水も肝性脳症も食道静脈瘤もできるだけ予防していきたいのですが、とくに食道静脈瘤の出血
は、肝臓への血流低下につながり、他の合併症の引き金にもなりかねないので、極力回避したいです。

肝癌 -早期発見のために2ヵ月に1度の腫瘍マーカー測定と3~4ヵ月ごとの超音波検査-
以上のような合併症に加え、肝硬変で注意を要するのは肝癌の発症です。そして肝癌で何より鍵を握るのは、
早期発見・早期治療であることはいうまでもありません。外来で早期発見のために行っているのは、2ヵ月に1回
程度の定期的な腫瘍マーカー(αフェトプロテインまたはPIVKA-II)の測定と、3~4ヵ月に1回の超音波検査です。
これらの検査で腫瘍が疑われた場合は、CTやMRIで精密検査するという方法で、およそ1cm前後の腫瘍から
発見することができます。
通常、肝細胞癌が2倍の大きさに成長するのにかかる時間(doubling time)は3~4ヵ月であるため、この頻度で
検査していれば、たとえ1cm大での腫瘍発見には失敗しても、次回の検査で、まだ早期治療の可能な2cm大の
段階で発見することができます。このようなスクリーニングは、一般の開業医さんでも十分行えるものなので、
ぜひ心がけて頂きたいと思います。
2cm以下の腫瘍に対する早期治療としては、外科的切除のほか、ラジオ波による焼灼治療が、最もよく用いられ
ています。ラジオ波焼灼法は、かつて行われていたエタノール局注より確実な治療法であり、マイクロ波焼灼法に
比べても焼灼範囲を正確に予測できるという特徴をもっています。また、2cm大以上の腫瘍に対しては、ラジオ波
焼灼法と肝動脈塞栓術(TAE)の併用が行われます。
B型肝炎の場合の頻度は不明ですが、C型肝炎による肝硬変の場合、肝癌の発症率は1年間に7%程度と
いわれます。しかし、少なくとも2cm以下の早期に腫瘍を発見すれば、上記のような内科的治療で、外科的
切除と同等の治療成果、予後コントロールが可能な時代になりました。

合併症を引き起こさないために -大切なのは「規則正しい生活」と「適切な食事」-
以上、肝硬変における合併症について述べてきましたが、このような合併症を引き起こさせないためには、どの
ようなことに注意すれば良いのでしょうか。
そのためにまず心がけるべきことは、「規則正しい生活」と「適切な食事」です。ゆったりとした生活をして、野菜、
蛋白質をバランスよく含んだ食事を適量取り、適度に体を動かすことで、肝機能を悪いながらも現状のまま維持
していくことが大切です。
最近では抗ウィルス療法による原因療法が登場し、「肝硬変も治る」時代になりました。その意味では、原因療法
も積極的に取り入れていきたいのですが、それにはまだ壁もあります。そのような中で重要なのは、栄養源の
代謝中心である肝臓にできるだけ負担をかけず、肝臓自体を健康に保つことです。そのために、リーバクト顆粒(R)
などを利用する意義は大きいのです。
肝硬変による死亡数は、かつての3万人から最近では1万人に激減しました。今や肝硬変は死に直結する疾患
ではないのですが、医師や患者さんの中には、「肝硬変は致命的な病気」という昔のイメージが、いまだに根強く
残っているようです。
合併症を起こす前の肝硬変患者さんは、開業医の先生のもとで診療を受けているケースが多いのです。また
合併症を発症して専門医に紹介したあとでも、退院後の管理は、開業医の先生が行われることが多いと
思います。先生方には「肝硬変、肝線維化は、原因療法をすれば治る疾患だ」ということを、念頭において治療に
当たっていただきたいです。そして、合併症を起こし不安を抱えている患者さんに対しては、「肝性脳症も腹水も
可逆性で必ず治る」のだということ、原因療法のできない現状においても、リーバクト顆粒(R)などを用いて上手に
コントロールをしてさえいれば、肝硬変をもちながらでも普通の生活をして長生きできるということを、患者さんに
十分に伝えて上げて欲しいと思います。

村脇 義和 氏
鳥取大学医学部 機能病態内科学分野 教授
昭和50年鳥取大学医学部卒業
昭和56年鳥取大学医学部第二内科助手
昭和63年Erlangen大学第一内科で研修
平成元年鳥取大学医学部第二内科講師
平成13年鳥取大学医学部機能病態内科学(第二内科)教授

2010年4月2日金曜日


さかさまつげ、さかまつげ(がんけんないはん・しょうもうないはん、しょうもうらんせい)

さかさまつ毛、さかまつ毛(眼瞼内反・睫毛内反、睫毛乱生)


trichiasis

腱毛乱生(症)、さか(さ)まつげ
===============================

さかさまつ毛、さかまつ毛(眼瞼内反・睫毛内反、睫毛乱生)はどんな病気か


 本来、外向きに生えて角膜(かくまく)(黒眼)には触れない睫毛(しょうもう)(まつ毛、図5)が、内向きに生えて角膜に当たり、角膜に傷をつくります。
原因は何か
 まつ毛が角膜方向を向く原因には、まぶた自体が内向きにまくれ込んでいる眼瞼内反と、まぶたには問題なく、毛根からのまつ毛の生え方がいびつで角膜側を向く睫毛乱生とがあります。
眼瞼内反には、先天性のものと加齢性(老人性)のものが多く(図6)、いずれもまぶたの皮膚の過剰やたるみ、皮下の筋肉の筋力低下などによるものです。先天性のもので、まぶたの内反の程度が軽く、皮膚や皮下脂肪が過剰なため、まつ毛の生える方向が内向きである場合、とくに睫毛内反と呼ぶことがあります。
また、これらのほかに、炎症などの結果、まぶたが変形して起こる瘢痕性(はんこんせい)のものや、まぶたがけいれんして起こるものなどもあります。いずれも、ひと並びのまつ毛全体が角膜方向を向くので、多くのまつ毛が角膜に当たることになります。
一方、睫毛乱生は眼瞼縁炎(がんけんえんえん)など、まつ毛の毛根部の炎症によって引き起こされることが多く、角膜に当たるまつ毛の数は1本のみの場合から多数の場合までいろいろです(図8)。
症状の現れ方
 乳幼児では瞬目過剰(しゅんもくかじょう)(まばたきが異常に多い)、羞明(しゅうめい)(光を異常にまぶしがる)、結膜充血(眼が赤い)、眼脂(がんし)(目やに)、流涙(りゅうるい)などを起こします。小児、成人では以上に加え、異物感、痛みなどを訴えます。
検査と診断
 眼科外来での診察で、まぶたの形状、まつ毛が角膜に接触していること、角膜の傷の程度などを診断します。常時まつ毛が角膜に接触している場合のほかに、眼球運動やまばたきの強さ次第で、まつ毛が角膜に接触する場合があります。
治療の方法
 先天性の眼瞼内反・睫毛内反の場合、成長とともに1歳前後で自然に治ることが多いので、それまでは抗生剤の点眼などで様子をみるのが普通です。2歳以上で治らない場合、さらなる成長に伴い自然治癒することも期待できますが、症状の強さ次第では手術を考えます。
加齢性の眼瞼内反では、まつ毛を抜くと一時的に症状は改善しますが、またまつ毛が生えると同じことの繰り返しになります。また、抜くにしても、ひと並びのまつ毛全体を抜く苦痛も決して軽くはありません。手術して治すほうが効果的です。
睫毛乱生でも、まつ毛を抜くと一時的に症状は改善しますが、まつ毛が生えるとやはり同じことの繰り返しです。抜く本数が少なくても、繰り返せば炎症を引き起こしたり、さらに太いまつ毛が生えてくる場合もあります。
きっちり治すには手術が必要で、睫毛電気分解(まつ毛の毛根を電気の針で焼く)や冷凍凝固、また内反症手術に準じた手術などが行われますが、簡単には治らない場合もあります。

さかさまつ毛、さかまつ毛(眼瞼内反・睫毛内反、睫毛乱生)に気づいたらどうする


 同様の症状でも結膜炎、眼瞼縁炎などの場合もあるので、早めに専門医を受診してください。

2010年4月1日木曜日

【患者さんからの本音】

・ナゾネックス (点鼻薬) 臭いから使いたくない??
チャンピックス 経口禁煙補助薬 BI200以上で適応 ニコチン受容体α4β2アゴニスト
1日1mg2T2xから開始し、8日目から禁煙する。12週で終了
地検では 38%VS64 %ぐらいで有意差あり 
確かに、外来でも、すんなりやめていく人多い。効果ありそう。

===============================

チャンピックスは、禁煙治療を目的に開発された日本初の経口禁煙補助薬です。既存の禁煙補助薬がタバコの代わりにニコチンを補充することによって禁煙に伴う離脱症状を軽減する「ニコチン代替療法」であるのに対し、チャンピックスはニコチンを含まず、脳内のα4β2(読み方:アルファ4・ベータ2)ニコチン受容体に高い結合親和性をもつ部分作動薬 注1として禁煙効果を発揮します。




本剤は、喫煙の本質であるニコチン依存に関連している脳内のα4β2ニコチン受容体に作動薬(アゴニスト)として作用することによって、禁煙に伴う離脱症状やタバコへの切望感を軽減します。同時に、服用中に再喫煙した場合に拮抗薬(アンタゴニスト)としても作用し、α4β2ニコチン受容体へニコチンが結合するのを阻害し、喫煙から得られる満足感を抑制します。



禁煙を希望する日本人喫煙者を対象とした12週間投与の二重盲検比較試験において、主要評価項目の第9~12週の4週間持続禁煙率は、チャンピックス1mg1日2回投与群で65.4%(85/130例)、プラセボ群で39.5%(51/129例)で、チャンピックス群はプラセボ群と比較して統計的に有意に高い禁煙率を示しました。



喫煙者の多くはニコチン依存に陥っていると同時に、タバコをやめることを望み、禁煙にチャレンジしているニコチン依存症の喫煙者の多くが、禁煙できずにいます 注2。ニコチン依存症は慢性的な疾患であり、本人の意志のみでは克服が困難です。禁煙を成功させるためには医師による禁煙指導と薬物療法を併用することが効果的です。私共はチャンピックスによってニコチン依存症の患者さんの薬物療法の選択肢を広げ、より効果的な禁煙治療の提供に貢献できるものと考えております。



チャンピックスは、米国で2006年8月より「Chantix」の製品名で発売され、EUでも同年12月より「Champix」の製品名で販売が開始されました。現在、世界60ヵ国以上で承認され、禁煙を希望する喫煙者に使用されています。日本では2006年6月に厚生労働省へ承認申請し、今回承認を取得するに至りました。



注1: 単独では作動薬として機能する一方で、他の作動薬が存在しているときには拮抗薬として作用する物質(チャンピックスの場合、他の作動薬に該当する物質はタバコに含まれるニコチンです)

注2: 大阪府立健康科学センター ニコチン依存症と禁煙行動に関する実態調査(2006年)



チャンピックスの概要

【製品名】 チャンピックス錠0.5mg、同錠1mg(Champix Tablets)

【一般名】 バレニクリン酒石酸塩 (Varenicline Tartrate)

【製造販売承認取得日】 2008年1月25日(金)

【製造販売】 ファイザー株式会社

【効能・効果】 ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助

【用法・用量】 通常、成人にはバレニクリンとして第1~3日目は0.5mgを1日1回食後に経口投与、第4~7日目は0.5mgを1日2回朝夕食後に経口投与、第8日目以降は1mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。なお、本剤の投与期間は12週間とする。

【特性】 ・ 新しい作用機序に基づく日本で初めてのニコチンを含まない経口禁煙補助薬です。



・ ニコチン依存症の喫煙者において優れた禁煙効果を示します。



・ 喫煙により得られる満足感を抑制します。



・ 禁煙に伴う離脱症状およびタバコに対する切望感を軽減します。

2010年3月26日金曜日

インフルエンザ脳症
・10万人年あたり4人の罹患率
・神経合併症のあった72人中 
  77%けいれん 11%インフルエンザ関連脳症 3%インフルエンザ後脳症
・日本のCross-sectional Survey
  年齢によって症状が違う
  5歳以下に多い
  年齢が高いほど、B型罹患が多く、意識障害などが神経初発症状として多く、
             けいれん、後遺症が少ない

・頻度 10/842=1,25%

Of 842 patients with LCI, 72 patients had an INC: influenza-related encephalopathy (8), post-infectious influenza encephalopathy (2),
________________________
49


TI Neurologic complications in children hospitalized with influenza: characteristics, incidence, and risk factors.

AU Newland JG; Laurich VM; Rosenquist AW; Heydon K; Licht DJ; Keren R; Zaoutis TE; Watson B; Hodinka RL; Coffin SE

SO J Pediatr. 2007 Mar;150(3):306-10.



OBJECTIVE: To determine the characteristics, incidence, and risk factors for influenza-related neurologic complications (INC). STUDY DESIGN: A retrospective cohort study of INC in children hospitalized with laboratory-confirmed influenza infection (LCI) from June 2000 to May 2004 was conducted. Systematic chart review was performed to identify clinical characteristics and outcomes. A neighborhood cohort was constructed to estimate the incidence of INC. Logistic regression was used to identify independent risk factors for INC. RESULTS: Of 842 patients with LCI, 72 patients had an INC: influenza-related encephalopathy (8), post-infectious influenza encephalopathy (2), seizures (56), and other (6). Febrile seizures were the most common type of seizures (27). No patient died from an INC. In our neighborhood cohort, the incidence of INC was 4 cases per 100,000 person-years. An age of 6 to 23 months (odds ratio [OR], 4.2; 95% CI, 1.4-12.5) or 2 to 4 years (OR, 6.3; 95% CI, 2.1-19.1) and an underlying neurologic or neuromuscular disease (OR, 5.6; 95% CI, 3.2-9.6) were independent risk factors for the development of INC. CONCLUSION: Seizures are the most common neurologic complication experienced by children hospitalized with influenza. In the United States, encephalopathy is uncommon. Young children and patients with neurologic or neuromuscular disease are at increased risk for INC.



AD Division of Infectious Diseases, Children's Hospital of Philadelphia and University of Pennsylvania School of Medicine, Philadelphia, PA, USA. jnewland1@cmh.edu

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Neurologic — CNS complications of influenza include aseptic meningitis, acute cerebellar ataxia, transverse myelitis, Guillain-Barré syndrome, acute necrotizing and postinfectious encephalitis (also known as acute disseminated encephalomyelitis), encephalopathy, febrile seizures, and acute mental status changes [49-54]. Reye syndrome is rare with the diminished use of aspirin in children. (See appropriate topic reviews).


Among a retrospective cohort of 842 children with laboratory-confirmed influenza, the incidence of neurologic complications was 4 per 100,000 person-years [49]. Neurologic complications were more frequent among children six months to four years of age and among those with underlying neurologic or neuromuscular disease. Among the 72 patients with neurologic complications, seizures occurred 77 percent, influenza-related encephalopathy in 11 percent, and postinfectious influenza encephalopathy in 3 percent. Data from the National Inpatient Register in Sweden indicate that the incidence of influenza-associated encephalitis is 0.21 per 1 million person-years and 1.5 per 1000 patients hospitalized with influenza [55].



The clinical manifestations of influenza-associated encephalitis in children were described in a cross-sectional survey in Japan [56]. Among 472 cases of influenza-associated encephalitis in children younger than 15 years, the peak incidence was at one to two years. The clinical manifestations varied according to age (0 to 5 years versus 6 to 15 years), with older patients having a greater incidence of influenza B infection, increased frequency of loss of consciousness or altered consciousness as the initial neurologic symptom, fewer seizures, and lower incidence of sequelae.

2010年3月25日木曜日

目薬の差し方 目をぱちぱちするのはよくない?




目頭を押さえる=涙点から、咽頭に流れ落ちてしまうのを伏せぐ。
ぱちぱちすると、良くないといわれたのは、このため。


眼がしらに落として、ぱちっとして、涙点を押さえて流出を防いだら、いいのではないだろうか?
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http://hitomi-sukoyaka.com/column/eyelotion/ 参天製薬 イラスト

2010年3月24日水曜日

HPVのワクチンについて  サーバリックス 
①接種中に妊娠したら?
→妊娠する可能性があるなら、延期する。妊娠したら、中止する。
②接種年齢は?
→10歳から40歳代ぐらいまで。
(40歳代以降ではようやく自然免疫が付き始めるから。粘膜感染なので、免疫が付きにくい。)


③引き続き、検診は必要
15種類の発がん性HPVのうち、2種類のウイルス型を含むワクチンでしかないため。


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http://www.futaba-cl.com/main03-cervarix.htm このほうが参考になる。


 HPVは、120種類以上確認されています。HPVのなかでも、現時点で約20種類が悪性腫瘍との関連が指摘されています。特に悪性度の高い約15種類が発がん性HPVと呼ばれています。子宮頚がん発現にかかわるタイプとして、HPV-16,18の感染が重要です。20~30歳代の日本人女性の調査では、HPVが認められた場合の7~8割は HPV-16かHPV-18です。

http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000585.html
発がん性HPVには 15種類ほどの型があり3、中でもHPV16型と18型は子宮頸がんから多く見つかる型で、日本では全年齢では約60%ですが4、20~30歳代では80~90%を占めています4。発がん性HPVは8割もの女性が一生のうちに一度は感染するという、ありふれたウイルスですが、ほとんどの場合は感染してもウイルスが自然に排除されるため、子宮頸がんを発症するのは感染した女性の1%未満と考えられています5。一方で、自然感染しても十分に抗体価が上昇しないため、同じ型のウイルスに何度も感染する可能性があります6。そこで高い抗体価を維持する方法としてワクチンの開発が望まれていました。
①添付文書
①添付文書

妊婦、産婦、授乳婦等への接種


1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への接種は妊娠終了まで延期することが望ましい。[妊娠中の接種に関する有効性及び安全性は確立していない。]
2.
授乳中の接種に関する安全性は確立していないので、授乳婦には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。[ラットにおいて、抗HPV-16抗体あるいは抗HPV-18抗体が乳汁中に移行することが報告されている。]
10歳以上の女性に、通常、1回0.5mLを0、1、6ヵ月後に3回、上腕の三角筋部に筋肉内接種する。

2010年1月22日金曜日

結核性髄膜炎で低Cl血症あり、その結果 髄液Cl濃度低下する。ローゼンタール計測盤では、/3mm3で表示される 国際的には 3で割って /μLで表示

髄液一般検査の標準化 平成20 年7 月


市立芦別病院 臨床検査室 遠藤 雅仁

【 はじめに 】

脳脊髄液(髄液)は中枢神経系の病態に直接アプローチできる数少ない検査材料であり、特に髄液一

般検査は早急な治療を必要とする髄膜炎・脳炎の診断や治療経過の観察のために欠くことのできない検

査法である。だが、日常検査の中での髄液は検査件数や症例数が血液や尿と比較して非常に少ないとい

う宿命的なハンディを持つことも事実である。

Ⅰ。髄液の採取と取り扱い

1. 腰椎穿刺髄液と脳室ドレナージ髄液

髄液は通常、腰椎穿刺により採取されるが、水頭症などが原因で脳室ドレナージを施行している患

者では脳室に挿入されたドレナージを介して採取した髄液が検体として提出される場合がある。注意

すべきは脳室ドレナージ髄液は蛋白量が腰椎穿刺髄液の1/2~1/3にとどまる点である。これは

髄液巡回速度の違いにより腰椎では髄液が濃縮されるためと考えられる。また、ドレナージ髄液には

医原的原因により脳組織片や脈絡層細胞の混入をみとめることが少なくない。これらに臨床的出現意

義はないが、病的な所見と誤認しないように注意する必要がある。ドレナージ髄液の採取は頭部皮下

の貯留槽(リザーバー)より行う。廃液バック中の髄液は細胞が変性融解し、二次的な雑菌の増生を

認め、検体として使用できない。

2. 髄液採取後は迅速に対応する

髄液は2~3本の滅菌スピッツに分けて採取し、そのうちの最初に採取した1本目を髄液一般検査

に使用し、残りを微生物検査や他の特殊検査などに用いる。髄液は成人で1 分間に約1ml の速度で

更新されており、そのため腰椎穿刺では最初に流出する髄液により多くの細胞を含む傾向がある。採

取した順番をスピッツに記入しておくとよい。一般検査の場合、髄液量は1mlあれば再検まで可能

である(細胞数算定・分類200μl、化学的検査200~300μl)。抗凝固剤は原則として使

用しない。特にヘパリンはサムソン液と反応して塵埃状物質が析出し細胞算定が困難になるので注意

する。髄液中の細胞や化学物質は極めて不安定であり、採取後は遅くても1時間以内に検査を開始す

る。

Ⅱ。細胞数の算定と分類

1. サムソン液による髄液希釈

マイクロピペットを用いて髄液180μlとサムソン液20μl(9:1)を混和する。混和する

試験管はプラスチック(ポリプロピレン)製を使用し、管壁への細胞付着をできるだけ少なくする。

サムソン液は市販のものでもよいが、2年に1度は調和し直し一定の染色性を保つようにする。

2. フックス・ローゼンタール計算盤

サムソン液で10/9倍に希釈した髄液は軽く混和後、すぐに計算盤に注入する。フックス・ロー

ゼンタール計算盤を使用するが、最近ではディスポーザブルタイプのものが使用されるようになった。

定価は1枚500円程度と割高だが、計算盤を洗浄する必要がなく、バイオハザード対策にも有効で

あることから繁忙な検査室での利用価値は高い。ただ、ディスポーザブルタイプは計算室内の髄液が

乾燥しやすいため、速やかに鏡検する必要がある。またガラス製の従来の計算盤に比較して計算室の

ライン構成はかなりラフである。
3. 細胞算定の実際


計算盤に髄液を注入後、5分間ほど放置し計算盤の底に細胞が静止するのを持って算定を開始する。

顕微鏡の倍率は200倍(接眼レンズ10倍×対物レンズ20倍)を用いることで細胞算定と分類が

同時に行え効率的である。フックス・ローゼンタール計算盤は計算室の特性から算定した細胞は/3

mm³となる。わが国では従来よりこれをそのままの単位で用いてきたが、細胞数の国際単位は血液

であれ、尿であれ、髄液であれ単位は/μlで示すのが望ましい。したがって、細胞数が150/3

mm³であれば、3で割って50/μlと報告する。

4. 細胞分類の実際

多核球と単核球に分類する。多核球として好中球、好酸球、好塩基球をまとめ、単核球としてリン

パ球、単球、組織球をまとめる。一般検査における髄液細胞分類の第一の目的は早急な治療を必要と

する細菌性髄膜炎の診断である。すなわち、細菌性髄膜炎で増加する好中球を他の細胞と区別するこ

とにほかならない。もちろん、多核球には好中球のほかに好酸球と好塩基球があるわけだが、これら

を計算盤上で明確に鑑別することは不可能である。ただ最近、保存の良い好酸球については計算盤上

でも推定可能との見解をみるが、現状では計算盤では多核球 = 好中球として取り扱う。

計算盤上の細胞は球状であり、計算盤の底に設置した細胞の位置により細胞核の見え方は様々に変

化し、多核細胞であっても核が重なり合えば単核状に見えてしまうことがある。計算盤による細胞分

類のコツは核の形状にとらわれるのではなく、細胞質の形と色に留置することである。以下、計算盤

上の髄液細胞所見(サムソン染色)について述べる。

1)多核球

① 好中球:細菌性髄膜炎で箸明増多し、フクシン色素に染色されないアメーバー状の不整な細

胞質を特徴とする。

② 好酸球:細胞質はほぼ円形で、2核のことが多い。細胞質は淡いオレンジ色を呈しコンデン

サを下げると光り輝いて見える。好酸球性髄膜炎で増加し、原因としては寄生虫感染

症や各種アレルギー反応などが考えられる。

③ 好塩基球:細胞質顆粒などは認められず、好中球と鑑別できない。

2)単核球

① リンパ球:小型で円形の核を有し、細胞質は狭小で核周囲にリング状に認められる。ウイル

ス性髄膜炎で増加する。

② 単球:好中球、リンパ球に比較してやや大型で、切れ込みを持つ核は偏在し、細胞質はフク

シンに強く染まる。これは単球の細胞質内に小胞体が多く、この小胞体内部にフクシン

色素が取り込まれるためと解釈される。各種髄膜炎やクモ膜下出血などの無菌性髄膜反

応で出現する。

③ 組織球:大型でN/C 比が小さく、細胞質には小空砲やヘモジデリンの貪食を認めることが

ある。赤血球片やヘモジデリンを認めれば髄液腔内での出血を証明できる。出血や炎

症、その他物理的刺激で反応性に動員され、出現機序は単球と同様である。

Ⅲ。髄液一般検査における化学的検査

髄液の化学的検査を選択する上で最も重要なポイントは、それらの項目が臨床的意義を有し、確た

る根拠の基に迅速性、正確性をもって、いかに簡単に測定できるかという点である。
1.臨床的意義に乏しい化学的検査


髄液の化学的検査項目は施設によって千差万別であり、100年ほど前に考案された古典的な検査

法が何の疑いもなく継続して実施されている施設も少なくない。質の向上を追及する現代医療におい

て、根拠に乏しい検査を過去の慣習のみで実施することには大きな問題がある。

① ノンネ・アペルト反応・パンディー反応

ノンネ・アペルト反応は1908年に、パンディー反応は1910年に報告され、古典的な髄液

検査のグロブリン検出試験として理解されているが、いずれも真のグロブリン反応ではなく、単に

髄液蛋白の半定量法として認識すべきである。正確な蛋白定量が可能になり、さらには免疫グロブ

リンなどの詳細な検索が日常となった現在、これらの検査法を実施する臨床的意義はほとんどなく

なった。

② トリプトファン反応

トリプトファン反応は結核性髄膜炎の髄液中にトリプトファンが存在することが報告されて

以来、結核性髄膜炎の補助的診断法として応用されてきた。しかし、本法の反応機序はいまだ明

らかではなく、ウイルス性髄膜炎、細菌性髄膜炎やキサントクロミー髄液でも陽性を示すことが

あり、これが臨床の誤解を招く結果となりかねない。また、貴重な髄液材料を1度に1mlも使

用することも問題である。結核菌の迅速検出は迅速培養法やPCR 法などに委ねられるべきであ

る。

③ クロール

髄液クロールの測定も臨床的意義に乏しい。髄液中のCl は血中Cl に由来し、血中より15~

20mEq/l高値を示す。この差はDonnan(の膜)平衡ならびに髄液と血液間に存在する

電位差により生じるとされ、髄液Cl は血中Cl 値の変動に従い増減する。髄液の蛋白が上昇する

とDonnan 平衡に抵抗が加わり、そのぶん髄液Cl は低下する。たとえば細菌性髄膜炎など髄液

蛋白が著名に増加する例ではおのずと髄液Cl は減少する。すなわち、髄液Cl は髄液蛋白量を間

接的に見ているに過ぎない。かつて結核性髄膜炎で髄液Cl が特異的に低下するとの報告がなさ

れたことがあるが、のちにこれは結核性髄膜炎に生じる低クロール血症が原因であることが明ら

かにされた。したがって、血中Cl 値の把握と正確な髄液蛋白の測定がなされていれば、あえて

髄液Cl を測定する必要はないと思う。

2.臨床的意義のある化学的検査

24時間体制の検査室において、必須となる髄液化学検査を挙げるとすれば、蛋白と糖の2項

目である。さらに自動分析装置で容易に測定できることからLD とCK を重要参考項目として

付け加えたい。

1)蛋白

血清蛋白の0.2~0.6%が血液脳関門を通過し髄液に移行するとされており、腰椎穿刺

髄液の蛋白量は健康成人で15~45mg/dlでA/G 比も1.5~2.3と血清値とほぼ

同じである。髄液蛋白は各種中枢神経疾患で上昇し、一般的に50mg/dl以上であれば病

的増加と考えられる。特に細菌性髄膜炎、結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎の増悪期や、ギラン・

バレー症候群などで高値を示す。これは、血液脳関門が破壊され、多くの蛋白が血中より髄液

に移行するためである。髄液蛋白の検出法としてはピロガロールレット法が代表的であり、分
光光度計や自動分析装置を用いて測定する。多発性硬化症や脳炎では中枢神経系で産生された


免疫グロブリンにより髄液蛋白が増加するため、A/G 比やIgG の検索が重要となる。

2)糖

通常、髄液糖は血糖値の60~80%に維持されており、その値はあくまでも血糖値に左右

される。髄液糖を評価する際は常に血糖値を参考にし対比する必要がある。髄液糖が低下する

代表的な疾患として細菌性髄膜炎、結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎、悪性腫瘍の髄膜浸潤などが

挙げられ、これは髄液腔で増加した病原微生物や好中球による嫌気性解糖作用、あるいは血液

脳関門の破壊による糖移送能障害が原因とされている。測定には電極法や酵素法を用いる。

3)LD

細菌性髄膜炎で髄液中のLD が優位に上昇し、さらに予後推定や治療効果の判定に役立つこ

とから、臨床的に意義のある髄液マーカーとされている。正常髄液やウイルス性髄膜炎のLD

アイソザイムではLD4、LD5はほとんど認められないが、細菌性髄膜炎では著しく増加した

好中球由来のLD4、LD5 が上昇し、そのためLD 値が高くなる。しかし、ウイルス性髄膜炎

であっても髄液中にリンパ球が著名に増加した例ではリンパ球由来のLD2、LD3 が上昇し、

髄液LD が上昇を示すことがあるので注意する。また、腫瘍性疾患や中枢神経組織の破壊が生

じた場合も髄液LD が増加する。髄液LD の基準値はJSCC 法で25U/l以下である。

4)CK

髄液中CK は血中CK と独立して変動し、髄液蛋白量の影響もほとんど受けない。CK には

骨格筋由来のCK-MM、心筋由来のCK-MB、脳由来のCK-BB があるが、髄液中で検出

されるのはほとんどがCK-BB である。髄液中のCK 基準値は6U/l以下で、髄液中のCK

が上昇する疾患には脳挫傷、髄膜脳炎、脳腫瘍、脳血管障害、多発性硬化症などが挙げられ、

その上昇は脳組織の荒廃に由来すると考えられる。髄膜炎症例において、重症例や脳炎に波及

する例では細菌性、ウイルス性を問わず髄液CK の上昇を示すとされている。

【 おわりに 】

日臨技より出版された「髄液検査法2002」に準拠し、標準化を目的とした髄液細胞算定法や化学

的検査法についてまとめてみました。中枢神経系疾患は一般的に重篤な疾患であり、早急な診断と治療

を必要とすることが少なくない。そのため髄液一般検査は24時間体制の検査室で迅速検査項目として

取り扱われるのが通常である。つまり、検査室内のすべての検査技師が髄液検査と接する可能性が高い

わけであり、避けるべきは技師間の知識レベルや技術レベルの差のために患者に不利益を与えてしまう

ことにほかならない。定期的に検査室内で知識や技術の教育を実施し、検査室全体の資質の向上に繋が

るものと思われる。

【 参考文献 】

1.(社)日本臨床衛生検査技師会髄液検査法編集ワーキンググループ

「髄液検査法2002」。(社)日本臨床衛生検査技師会;2002

2.髄液の採取と検査の進め方。Medical Technology 2003;31(5)

3.髄液の生化学検査。Medical Technology 2003;31(5)

2010年1月5日火曜日

セレコックス COX2阻害薬


UpToDate COX-2 inhibitors and gastroduodenal toxicity ― major clinical
trials より・・・

関節リウマチの患者688人を対象に、セレコキシブとナプロキセン、プラセボを投与した群を12週間観察した。セレコキシブとナプロキセンを投与した群
で、プラセボと比較して関節炎の症状が改善した。内視鏡的に観察される胃十二指腸潰瘍の発生率は、セレコキシブはプラセボと同等(約4%)であり、ナプ
ロキセンより(26%)極めて低かった。655人の関節リウマチ患者を対象にした別の研究でもセレコキシブとジクロフェナクの胃腸障害の程度は同様の結
果であった。
上の2つの研究は内視鏡的に観察される潰瘍を調べており、次の2つの研究は臨床上明らかな潰瘍に焦点を絞った。

CLASS研究は、8059人を対象とし、最初の6ヶ月間においてセレコキシブはイブプロフェンやジクロフェナクよりも症状を有する潰瘍や潰瘍による合
併症が顕著に少なかった。加えて、セレコキシブは非選択NSAIDsに比べて、肝障害、高血圧、浮腫も少なかった。

この研究のサブ解析が行われた。何人かの著者は次の6カ月間において、イブプロフェンやジクロフェナクで治療した群と比較して、セレコキシブで治療した
群では、潰瘍による合併症が多いと指摘した。その結果、観察の1年後では、3つの群において潰瘍合併症の発生には差がなかった。この情報はFDAにて利
用でき、胃腸障害のリスクに関しては、非選択的NSAIDsと同様であるとラベルづけされるような影響を受けるかもしれない。セレコキシブが胃腸障害を
減少することができなかった理由として次のものがあげられる、1)およそ20%の患者では低用量アスピリンを併用していた、2)セレコキシブ800mg
/日という高用量が投与されていた、3)比較的副作用の少ないNSAIDsとの比較がされていた。

2番目の研究(SUCCESS-1)では39ヶ国からの13274人の変形性関節症患者を対象とした。8800人がランダムにセレコキシブ(100-2
00mg1日2回12週間)、4394人が非選択NSAIDs(ジクロフェナク50mg または ナプロキセン500mg1日2回12週間)に割りつけ
られた。両薬剤とも変形性関節症の治療には同等の効果であった。NSAIDs群に比較してセレコキシブ群は2倍の対象数でありながら、臨床上明らかな潰
瘍は2群間で同じであった(それぞれ18人ずつ、オッズ比2)この研究で潰瘍合併症は9例あり(7例がNSAIDs群、2例がセレコキシブ群であった。
オッズ比7)。アスピリンを併用していない患者では合併症はより少なく(6例NSAIDs群、1例セレコキシブ群)、アスピリン併用している患者とは異
なっていた(それぞれ1例の合併症)。心血管のイベント発生の差を見出すほどの結果は得られなかった。しかし、セレコキシブ群では10例の心筋梗塞、半
分の対象数であるNSAIDs群で1例の心筋梗塞(オッズ比0.2)であった。