2009年7月15日水曜日

骨粗鬆症まとめ3

<用語について> ・骨塩量(bone mineral content,BMC)DXA,QCT,pQCTなどで測定されているのは骨塩量である。 ・骨密度(bone mineral density,BMD)骨サイズの影響を除外するために,DXAでは骨塩量を骨面積(cm2)で,QCTやpQCTでは骨塩量を骨体積(cm3)で除した値で示す。 <検査の推奨 ガイドラインより> ・すべての65歳以上の女性,および危険因子を有する65歳未満の女性を対象 ・躯幹骨DXA測定椎体と大腿骨近位部DXAの両者を測定することが望ましい。 ・上記2ヵ所での評価が困難な場合,橈骨DXA測定を施行する(グレードA) (欧米では大腿骨近位部DXAが推奨されているが,日本人においては同部の測定精度が低いため,十分な測定がなされていないと考えられる場合は腰椎DXAを診断に用いる。) (注) ・手、踵骨は感度低く、フォローに不向き ・トウコツは治療反応の感度低い ・脊椎:変形性せきつい症・Ao石灰化で影響を受けやすい ・大腿骨近位部 股関節変形で測定困難 <治療適応の基準など> 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会より ●表30 骨粗鬆症治療についての基本的な考え方 1.骨粗鬆症治療は骨折危険性を抑制し,QOLの維持改善をはかることを目的とする。 2.脆弱性骨折予防のための薬物治療開始基準は,骨粗鬆症診断基準とは別に定める。 3.日本では骨折危険因子として,低骨密度,既存骨折,年齢に関するエビデンスがある   WHOメタアナリシスでは過度のアルコール摂取,現在の喫煙,大腿骨頸部骨折の家族歴が確定 4.骨粗鬆症の薬物治療開始は上記の骨折危険因子を考慮して決定する。 ●表31 脆弱性骨折予防のための薬物治療開始基準 I 脆弱性既存骨折(-)  1)腰椎,大腿骨,橈骨または中手骨BMDがYAM70%未満  2)YAM70%以上80%未満の閉経後女性および50歳以上の男性で、以下のいずれか一つを有する  ・過度のアルコール摂取(1日2単位以上),  ・現在の喫煙,  ・大腿骨頸部骨折の家族歴 II 脆弱性既存骨折(+) (男女とも50歳以上) (過度のアルコール摂取(1日2単位以上),現在の喫煙,大腿骨頸部骨折の家族歴は骨折のリスクを約2倍に上昇させるから) 以上 ___________ http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_0013.html 表11 各測定法の長所・短所と適応 測定部位 測定法 長 所 短 所 適 応  腰 椎 DXA 骨折発生頻度の高い領域を高い精度で測定,骨折リスクの評価に優れる。ステロイド骨症の変化,薬物効果の変化を最もよく捉えることができる。 大動脈石灰化や変形性脊椎症の影響を受ける。二次元測定であるため,骨の大きさの影響を受ける。 広範囲,ただし高齢者では適応症例が少なくなる。 QCT 海綿骨を分離して計測可能,三次元骨密度が計測可能。測定感度が高く,骨減少を早期に検出する。脊椎圧迫骨折のリスクの検出能は著しく高い。 再現性が低い,被曝線量がほかに比べて大きく,高価。 骨減少の早期検出,変形性脊椎症でも測定可能。  大腿骨近位部 DXA 大腿骨近位部骨折リスクを最もよく反映し,他の骨折リスクの検出にも優れる。 日本人では再現性が低い。 広範囲,ただし内旋困難例,変形性股関節症では測定困難。  橈 骨 DXA,SXA 安価,皮質骨の状態を知ることができる。 薬物治療への感度が低い。 副甲状腺機能亢進症(および手術後)の経過観察。椎体,大腿骨DXA測定困難症例での骨粗鬆症診断。 pQCT 海綿骨・皮質骨を分離して計測可能,三次元骨密度が計測可能。 再現性が低い。 橈骨曲げ強度の算出,代謝性骨疾患において海綿骨・皮質骨の代謝状況を検討。  踵 骨 DXA,SXA 海綿骨の豊富な荷重骨で骨粗鬆症診断の補助的役割。 運動・荷重の影響を受けやすい。 腰椎,大腿骨近位部,橈骨での評価が困難な場合。  QUS 非エックス線検査であり,エックス線管理区域外でも使用可能。 感度が低い,モニタリングには適さない。 エックス線管理区域外での測定,検診。小児・妊婦。  手 RA(MD) 安価,低侵襲,簡便。 感度が低い,モニタリングには適さない。 骨密度測定装置のない施設でも可能。 ・すべての65歳以上の女性,および危険因子を有する65歳未満の女性を対象とした躯幹骨DXA測定が推奨される。欧米では大腿骨近位部DXAが推奨されているが,日本人においては同部の測定精度が低いため,十分な測定がなされていないと考えられる場合は腰椎DXAを診断に用いる。椎体と大腿骨近位部DXAの両者を測定することが望ましい。上記2ヵ所での評価が困難な場合,橈骨DXA測定を施行する(グレードA)。 =============== 骨粗鬆症の診断 http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_0009.html  用語解説骨量・骨塩量・骨密度 骨量(bone mass)骨は骨基質(コラーゲンなど)と骨塩(ハイドロキシアパタイト)からなり,骨量はそれらの総和である。骨塩量(bone mineral content,BMC)DXA,QCT,pQCTなどで測定されているのは骨塩量である。骨密度(bone mineral density,BMD)骨サイズの影響を除外するために,DXAでは骨塩量を骨面積(cm2)で,QCTやpQCTでは骨塩量を骨体積(cm3)で除した値で示す。骨量測定と骨塩定量骨量測定とは,厳密には骨基質と骨塩を併せた量を測定することを意味する。しかし,現実には臨床上,骨基質を測定することが困難なため,骨塩量をDXAなどで測定しているので骨塩定量という。QUSでは骨構造や骨密度など骨強度を反映する指標が得られる。 椎体の骨折 脆弱性骨折(fragility fracture)*1低骨量(骨密度が若年成人平均値の80%未満,あるいは椎体エックス線写真で骨粗鬆化がある場合)が原因で,軽微な外力によって発生した非外傷性骨折。骨折部位は椎体,大腿骨頸部,橈骨遠位端,その他。臨床骨折(clinical fracture)*2腰背部痛などの臨床的に明らかな症状があり,エックス線写真により骨折が確認されたもの。形態骨折(morphometric fracture)*2臨床症状の有無とは無関係にエックス線写真により椎体変形の程度から判定される骨折。既存骨折(prevalent fracture)*2ある特定の一時点におけるエックス線写真での椎体の変形の程度により判定される骨折。新規骨折(incident fracture)*2二つの時点におけるエックス線写真を比較し椎体の形態変化の程度により新たに判定される骨折。 文献*1折茂 肇ほか.原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度改訂版).日骨代謝誌.2001;18:76-82.*2中村利孝.椎体骨折の臨床疫学.1-1 臨床的特徴と定義.骨粗鬆症の椎体骨折-骨の量・構造と強度.中村利孝ほか編.メディカルカルチュア;東京:2002.p.12-5. 大腿骨近位部における各骨量指標の領域(図) 大腿骨頸部DXAでは頸部の幅10mmまたは15mm(機種により異なる)範囲の骨密度が得られる。大腿骨近位部DXAでは頸部と転子部ほか,転子間部と呼ばれる部位のおのおのとトータル(近位部)の骨密度がQDR,DPXで得られる。 ______________________ 治療による骨密度変化の検出感度 -腰椎正面DXA 大腿骨BMDhttp://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_0024.html 治療による骨密度変化の検出感度は,腰椎正面DXAが高い。大腿骨BMDでは近位部全域(total)の感度が高く,Ward三角は感度が低い。橈骨遠位1/3部のDXAや踵骨超音波法は,CVは低いものの治療による変化率も小さいため,治療後の経過観察には不適である。ただし,橈骨遠位の海綿骨が豊富な部位をSXA/DXAやpQCTにより測定すると,腰椎DXAと同様の検出感度が得られたとする報告もみられ197),198),今後の検討結果によっては,これらの方法も治療効果の判定に利用しうる。高度の退行性変化や測定領域内の圧迫骨折などで,腰椎DXAによる評価が不適当と考えられる場合は,大腿骨DXAなど他部位の値を参考にする。  Research Question治療効果の評価に適した測定部位 http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_0009.html 経過観察のための骨量測定法としては,変化率が高くCVの低い方法が適している。表34に骨粗鬆症治療薬の大規模臨床試験で得られた骨密度変化率を示す。一般に,治療による骨密度変化の検出感度は,腰椎正面DXAが高い。大腿骨BMDでは近位部全域(total)の感度が高く,Ward三角は感度が低い。橈骨遠位1/3部のDXAや踵骨超音波法は,CVは低いものの治療による変化率も小さいため,治療後の経過観察には不適である。ただし,橈骨遠位の海綿骨が豊富な部位をSXA/DXAやpQCTにより測定すると,腰椎DXAと同様の検出感度が得られたとする報告もみられ197),198),今後の検討結果によっては,これらの方法も治療効果の判定に利用しうる。高度の退行性変化や測定領域内の圧迫骨折などで,腰椎DXAによる評価が不適当と考えられる場合は,大腿骨DXAなど他部位の値を参考にする。副甲状腺機能亢進症では,皮質骨主体の部位で骨密度変化がみられ,橈骨遠位1/3部のDXAなども経過観察の参考となる。 表34 DXA測定部位による治療後骨密度変化率の相違# 腰椎正面大腿骨近位部前腕骨アレンドロネート7.48%/2~3年5.60%/3~4年2.08%/2~4年リセドロネート4.54%/1.5~3年2.75%/1.5~3年 ラロキシフェン2.51%/2~3年2.11%/2~3年2.05%/2年ホルモン補充療法6.76%/2年4.12%/2年4.53%/2年カルシトニン3.74%/1~5年3.80%*/1~5年3.02%/1~5年副甲状腺ホルモン8.6%/21ヵ月3.5 ~3.7%/21 ヵ月-0.8~1.5%*/21 ヵ月PTHは文献98での20μg投与群の結果,その他はいくつかの臨床試験のメタアナリシスの結果(文献203)を示す。#プラセボとの差(平均値)。*プラセボとの間に有意差なし。 Research Question骨量の経過観察時の注意事項 経過観察のタイミングは,予想される骨密度変化率とLSCを参考にして決定できる。ビスフォスフォネートなどの骨吸収抑制剤による骨密度変化率は,治療開始の半年や1年後のほうが,それ以降より大きい。一方,ビタミンDやビタミンK製剤では治療による骨密度増加率は小さい。経過観察の測定時には,前回と同じ機種・測定モード・解析方法を使用し,椎体誤認や関心領域の設定誤差に注意する。 Research Question測定結果の解釈 治療後の骨量測定で,治療前と比べ有意な増加がみられれば,治療効果ありと判定できる。ただし,骨密度変化率には,無治療の状態での減少率と治療による骨密度増加効果が影響する。さらに,骨吸収抑制剤による骨量増加率と骨折抑制効果には,必ずしも強い関連がみられないことも明らかにされている(図18)199),200)。したがって,有意な骨密度減少がみられる場合以外は,治療効果を不良とする判断基準にはなりがたく,骨代謝マーカーなども含めた総合的な判定が望まれる。 図18 治療による骨密度増加と骨折リスク低下の関係(文献199より引用)骨吸収抑制剤による腰椎骨密度の増加率(プラセボとの差)と椎体骨折発生の相対リスクの関係を示す。丸の大きさは各臨床試験の症例数に対応する。骨密度増加率が0でも25%の骨折抑制効果がみられる。________________ 治療の基準と診断は別の基準  YAM70%以下表30 骨粗鬆症治療についての基本的な考え方1.骨粗鬆症治療は骨折危険性を抑制し,QOLの維持改善をはかることを目的とする。2.脆弱性骨折予防のための薬物治療開始基準は,骨粗鬆症診断基準とは別に定める。3.わが国では骨折危険因子として,低骨密度,既存骨折,年齢に関するエビデンスがあり,WHOのメタアナリシスでは過度のアルコール摂取,現在の喫煙,大腿骨頸部骨折の家族歴が確定している。4.骨粗鬆症の薬物治療開始は上記の骨折危険因子を考慮して決定する。 表31 脆弱性骨折予防のための薬物治療開始基準I 脆弱性既存骨折がない場合1)腰椎,大腿骨,橈骨または中手骨BMDがYAM70%未満2)YAM70%以上80%未満の閉経後女性および50歳以上の男性で,過度のアルコール摂取(1日2単位以上),現在の喫煙,大腿骨頸部骨折の家族歴のいずれか一つを有する場合。II 脆弱性既存骨折がある場合(男女とも50歳以上)*過度のアルコール摂取(1日2単位以上),現在の喫煙,大腿骨頸部骨折の家族歴は骨折のリスクを約2倍に上昇させる。

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