薬剤の代謝
■CYPの働き
①代謝経路の大枠
-- 水溶性=水に溶けて 腎から排泄される
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-- 脂溶性=水に溶けないで体内を回っている→肝臓で代謝される
②肝代謝
第一相→ チトクロムP450系(マイクロソーム混合機能酸化酵素 略語はCYP)を利用した反応
CYPはステロイド、脂質などの代謝に重要
併記されたアルファベットは、イソ酵素。
これらは遺伝子多型があり、たとえばコデインが効かない人(CYP2D6の亜型)もいる
代謝
・エリスロマイシンが代謝抑制する薬
カルバマゼピン
シクロスポリン
テオフィリン
バルプロサン
ワーファリン
・キノロンが抑制する薬
テオフィリン
ワーファリン
シクロスポリン
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■ NQ系とNSAIDs
GABAの結合を阻害して、効果発揮できなくする
痙攣出現する
第2相
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http://www.allergy.go.jp/allergy/yakuzai/zensoku_03/index.html
1 件のコメント:
Q:ニュ―キノロン系薬剤とNSAIDの相互作用について教えて下さい。(整形外科医師)
A:キノロン系抗菌薬の母体であるナリジクス酸(NA)は副作用として中枢毒性が知られ、なかでも痙攣発現は深刻な問題として取り上げられてきた。現在臨床で汎用されてるニュ―キノロン系抗菌薬(NQ)はそれ自体は、NAのような旧キノロンに特有なめまい、ふらつき、不眠などの中枢毒性が比較的低く安全性の高い薬物であり、NAの欠点を改良した使いやすい抗菌薬と評価されてきた。
しかし、1986年、エノキサシン(ENX)とフェンブフェン併用による痙攣例を始め、ノルフロキサシン(NFLX)とフェンブフェン、シプロフロキサシン(CPFX)とケトプロフェン併用による痙攣例が報告されるなど、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)との併用で、NAでは知られていなかった重篤な薬物相互作用が指摘されている。
その作用機序は中枢神経系における抑制性伝達物質であるγ―アミノ酸酪酸(GABA)の作用部位であるGABAa受容体にNQが結合しGABA結合が阻害されることによるGABA結合阻害説が有力である。しかし、この相互作用による痙攣は、GABA作動薬のバルビツレ―トやジアゼパムでは完全に抑制できないが、カルバマゼピン、モルヒネ、ペンタゾシンでは抑制作用を示すことなどからGABA受容体の関与のみでは説明がつかない点も多い[1,2]。
NSAIDとNQのGABA受容体結合におよぼす影響をGABA受容体結合に対する50%阻害濃度(IC50)として、NSAID存在下におけるNQのGABA受容体結合に及ぼす影響を(表1)に示す[3]。
オフロキサシン(OFLX)およびスパルフロキサシン(SPFX)のGABA受容体結合への影響は、ENX,NFLXやCPFXに比べ弱いといえる[2,3,4]。またインドメタシン、フェンブフェン、フルルビプロフェン存在下でのGABA受容体結合阻害効果はSPFXが増強効果が一番小さいと言える。
表2はENX、CPFX、OFLXとNSAIDをマウスに併用同時経口投与したときの痙攣誘発率である。痙攣誘発率が高いものは併用を避けるべきである。ロキソプロフェン、メフェナム酸、オキサプロジン、ピロキシカム、メピリゾールでは痙攣が認められていないことから比較的安全な併用例が推察できる[4]。NQ併用により痙攣誘発をきたすNSAID抗炎症活性にとって共通な化学構造としてトパロ酸(アリルプロピオン酸)部分もっていることである。トロパ酸タイプのNSAIDには不斉炭素があり、光学異性体が存在する。ケトプロフェンとENXの併用ではR(-)体の方が抗炎症活性の強いS(+)体よりずっと低用量で痙攣誘発作用が起きたことから、化学構造も痙攣誘発を決める一因になっていると思われる報告もある[4]。
NSAIDとNQの併用はフェンブフェンとENXによる痙攣誘発作用が報告されて以来、深刻な相互作用として問題化されてきた。また、脳内GABA量を低下させるような条件下(ビタミンB6欠乏、高圧酸素呼吸時など)でも痙攣が誘発されることが知られている[3]。患者の状態に合わせ併用には十分注意が必要である。
【表1:NSAIDs存在下でのニュ―キロノン剤のIC50値】
Quinolone none Acetyl salicylate* fenbufen*
Sparfloxacin 9.1×10-4 1.0×10-4 4.0×10-4
Enoxacin 1.4×10-4 8.3×10-5 1.3×10-6
Norfloxacin 1.4×10-5 1.4×10-5 1.2×10-7
Ofloxacin 1.0×10-3 7.6×10-4 3.6×10-5
Ciprofloxacin 7.6×10-5 1.0×10-4 1.3×10-6
Quinolone indomethacin* flurbiprofen* BPA*
Sparfloxacin 2.8×10-4 1.6×10-4 5.2×10-8
Enoxacin 5.3×10-7 3.3×10-7 1.1×10-8
Norfloxacin 1.9×10-7 1.4×10-8 <10-8
Ofloxacin 1.2×10-4 3.0×10-6 8.3×10-7
Ciprofloxacin 1.0×10-4 1.0×10-6 3.0×10-8
NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬・0.1μM(最終濃度)
BPA:4-biphenylacetate
Each value represents mean of two separate experiments.
【表2 エノキサシン、シプロフロキサシンあるいはオフロキサシンと各種抗炎症薬(500mg/kg)をマウスに併用同時経口投与したときの痙攣誘発率】
Enoxacin Ciprofloxacn Ofloxacin
(400mg,kg.po) (1,000mg,kg.po) (1,000mg,kg)
CL TN L CL TN L CL TN L
BPAA 100 100 100 100 100 100 80 20 100
Aspirin 0 0 0 20 20 40 0 0 0
Amfenac-Na 80 70 80 80 20 80 0 0 0
Diclofenac-Na 0 0 0 0 0 20 20 0 0
Ibuprofen 0 0 0 20 0 20 0 0 0
Indomethacin 40 40 40 100 80 100 0 0 0
Ketoprofen 80 80 80 80 20 80 0 0 0
Loxoprofen 0 0 0 0 0 0 0 0 0
Mefenamic acid 0 0 0 0 0 0 0 0 0
Naproxen 100 40 100 60 0 60 60 40 60
Oxaprozin 0 0 0 0 0 0 0 0 0
Piroxicam 0 0 0 0 0 0 0 0 0
Pranoprofen 60 60 60 0 0 20 0 0 0
Sulindac 40 0 40 EX* 0 20 0 0 0
Tiaprofenic acid 40 40 40 20 20 20 0 0 0
Mepirizol 0 0 0 0 0 0 0 0 0
Tiaramide-HCL 0 0 0 20 0 0 0 0 0
CL:間代性痙攣発現率、TN:強直性痙攣発現率、L:投与24時間後の致死率
*EX:興奮症状
【参考文献】
[1]赤池紀扶:月間薬事, 32, 1:41, 1990.
[2]武田憲明:岐阜大医紀, 38:742, 1990.
[3]堀 誠治他:CHEMOTHERAPY, 39s-4(8):161, 1991.
[4]野崎正勝:MEDICAL DIGEST, 12(1):13, 1993.
[5]野崎正勝他:炎症, 11(4):343, 1993.
[6]堀 誠治他:CHEMOTHERAPY, 39s-4(8):161, 1993.
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